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バリがおしえてくれるもの
寺田直子プロフィール
トラベルジャーナリスト。年間150日は海外ホテル暮らし。訪れた国は60ヶ国ほど。バリを中心にアジア各国の文化、リゾートライフに精通するアジアの達人でもある。プロデュース、編集した書籍に「わがまま歩きバリ ボロブドゥール」(実業之日本社)、「インドシナの珠玉」(新潮社)などがある。大手ポータルサイト・エキサイトの公式ブログ「ハッピー・トラベルデイズ」でも各国からの旅だよりを発信する。
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コラム > バリが教えてくれるもの > Vol.4
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ウブドアルマ美術館チャロナラン Vol.4 本物を知る、ということ

From ウブド

日々、忙しい時間を過ごしていると、ふと「本物」に出会いたくなる時がある。
例えばパリ・ルーヴル博物館に飾られた名画の数々、あるいは生で観る歌舞伎や能など。生きていくためには決して必要ではないけれど、心を豊かにし感性を磨かせてくれるもの。それが「本物」の持つ存在感だと思う。
去年、バリ島を訪れたさい、珍しく半日のオフをゲット。滞在はウブド。買物に行こうか、あるいはスパか、などと考えていてふと、思い立ったのが。
「そうだ、アルマ美術館へ行こう。」
アルマ美術館へは本当に久しぶり。まずは、お目当てのウォルター・シュピーツの傑作『チャロナラン』の前へ。バリ島芸術の立役者シュピーツの唯一バリ島に残された直筆の「本物」ランダの魔的な表情、おびえる島民たち。ユーモラスな中に精緻な芸術性を感じる完成度の高い小品だ。
その後はこれもまた大好きなバリアートの歴史的人物、レンパットの作品群へと向かう。鉛筆素描とはいえ大胆な構図、力強いタッチ。エロチックなものも多く、レンパッドの豊潤な情感と人間性を見ているような気持ちになる。
外の気だるい午後の気配を感じながら、ひんやりと静かな美術館で「本物」と向かいあう。買物も楽しいし、スパも大好き。でも、たまにはこういう時間を過ごすのもなかなかいいものだ。
物欲や一瞬の快楽では得ることのできない満足感。「本物」に出会うということは、そう、自分の心に栄養を与えるっていうことなんじゃないだろうか。それも一生、心に残るものを。
「芸術の島」と呼ばれるバリ島では、実はこういう旅時間がとてもお薦めなのです。
2005年5月号より
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