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インドネシア・ポップス > Vol.48

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DEWAーデワ
  出すアルバム、メンバーの動向、ありとあらゆることが話題になるインドネシアを代表する超メジャーロックバンド。アフマッド・ダニーをリーダーに1992年にDEWA19としてメジャーデビュー。それまでインドネシアにはなかったポップス性の高さで一躍ミュージックシーンの寵児となる。ダニーいわく「音楽の骨格とボーカルのハーモニーは、Queenから影響を受けている」のだそう。頻繁にメンバーチェンジをくり返し、1999年にはDEWA19の顔であり、リスナーを魅了し続けたカリスマボーカリスト、アリ・ラッソが脱退、ファンに大きな衝撃を与えた。解散説が囁かれる中、新ボーカリストにまったく無名であったエルフォンダ“オンチェ”メケルを迎え、活動再会。2000年にバンド名をDEWAと改め、5枚目のアルバム「Bintang Lima」をリリース。バンドとして正念場のアルバムは通算170万枚を売り上げる大ヒットとなった。続いて2002年に「Cintailah Cinta」をリリース、100万枚以上を売り上げ新生DEWAの人気を不動のものとした。
 現在のメンバーはリーダーのダニー(Gi/Key)、アンドラ(Gi)、オンチェ(Vo)、トヨ(Dr)、助っ人ユケ(Bass)。2003年8月には初来日を果たし、東京と名古屋でコンサートを行った。メロディアスでスケ−ル感のある突き抜けたロックが真骨頂だが、新作「Laskar Cinta」では新路線を模索中のようだ。このアルバムは思わぬところで話題を提供した。ジャケットの星形のロゴがイスラム教のカリグラフィに酷似しており、ライブの際にメンバーが床に描かれた問題のロゴを踏んでいたため、イスラム教に対する冒涜だとして宗教関係者を中心に大きな問題になったのだ、結局は従来のものを回収して、ほんのちょこっとだけ違うロゴを使うことで騒ぎは収集をみた(掲載写真は旧ジャケット)。
 ダニーはソロ活動も行うかたわらプロデューサーとして、自身の妻マイア(RATU)、レザ、アグネス・モニカなどのアーティストにも楽曲を提供している。2005年全国ツアー敢行予定。
ディスコグラフィー
DEWA19 ←DEWA19
(1992年、Team Records)
Format Masa Depan ←Format Masa Depan
(1994年、Aquariu sMusicindo)
Bintang Lima Cintailah Cinta  
Format Masa Depan ←Format Masa Depan
(1994年、Aquarius Musicindo)
Pandawa Lima ←Pandawa Lima
(1997年、Aquarius Musicindo)
Bintang Lima
(2000年、Aquarius Musicindo)
新生DEWAの1枚目のアルバム。全曲を通してサウンドに勢いがある、DEWAの代表作ともいえる名盤。シングルヒットを連発、170万枚以上を売り上げる大ヒットとなった。今聴いても新しいおすすめの一枚。
Cintailah Cinta
(2002年、Aquarius Musicindo)
完成度が高くハズレ曲がないお得な?アルバム。曲調もバラエティに富み、ダレがない。メロディアスな曲が多いため、歌詞がわからなくも楽しく聴ける。
アルバム評
 
Laskar Cinta
【収録曲】
1. Pangeran Cinta:愛の王子
2. Atas Nama Cinta :愛の名において
3. Satu :ひとつ
4. Indonesia Saja:インドネシアだろ
5. Sweetest Place (英語)
6. Hidup Ini Indah:美しいこの人生
7.Cinta Gila:狂った愛

8. Nonsens:ノンセンス
9.Hadapi Dengan Senyuman:微笑みに向きあって
10.Matahari Bintang Bulan:太陽 星 月
11.Aku Tetaplah Aku:俺は俺のまま
12.Shine On (英語)
 
Laskar Cinta
(2004年12月、
Aquarius Musicindo)
<ホソルダ・スギアルト> 
赤と黒のツートンの意味は赤がDEWA、黒がDhaniという事なのか。前半はコンセプトアルバム的DEWAとしての「赤」、後半はすべてを自分の手で作ってしまうDhaniの力量を野心的にプレゼンテーションした「黒」という二重構造になっている。後半はメンバーのバラけた感じが否めず聴くのが辛かった。前作のCintailah Cintaではミックスとマスタリングをシドニーで行っていたが、今回のアルバムは全てをDhaniのスタジオで完了させている点も「プロディーサーとしてのDhani」を強調しているかのようだ。
  <蓮次郎子> 
ロゴ問題インタビューの際に、ダニーが「私自身もイスラム教徒です。宗教上のモチーフを使ったつもりはまったくない、宗教を冒涜したつもりもまったくない」と力説している横で、新ロゴの感想を求められたオンチェが「いいんじゃないですか。前のとあんまり変わらないし」としれっと他人事のようにコメント。それを言っちゃイカンでしょう...(笑)。アルバムの内容はメンバー自身が「ロックであることにこだわった」(でもレゲエもあり)「これまでに比べてよりハード」というだけあって、全体的にハードというか重い仕上がり。DEWAの持ち味であるはずの突き抜けたドライブ感が鳴りをひそめてしまっているのがちょっと寂しい。さらに新しい境地を模索しているのだろうが前作「Cintailah Cinta」や前前作の「Bintan Lima」の方が好き。戻って来て〜。
  <キャンディー・甲山>
天才Ahmad Dhaniの妄想バンド、と言っても過言ではないかもしれないDEWAの名盤 "Bintang Lima" を初めて聴いたのは3年前。ラジオから流れるそのサウンドを聴いて、インドネシアのポップスに何か大きなうねりが生まれつつある強い予感がした。それまでとりわけ豊穣な表現力の場ではあったものの、その実やはり日常の延長線でもがいていたのが、この国のポップスだったような気がする。でもその時DEWAの音から聞こえてきたのは強烈な、それも押さえようのない個人的世界観の奔流。しかもそれは月並みなパンクやハードコアという形をかりず、あくまで過剰に美しい旋律やオーケストレーションで演出されていたのだ。
ところでDEWAとは「王様」という意味らしい。つまりプリンスのお父さんですね。もしプリンス殿下がファンクではなくゴシックな世界に耽溺してたらどうなっていたか?その答えが知りたいあなたはぜひ 、"Bintang Lima" を聴くべきです。ところで今回のDEWAですが、これははっきり言ってある意味おもしろいけどかなりキツイ。もうアルバム全体Dhani印満載で、まるで「俺のアタマの中身を共有してくれ」と言われているような内容です。作詞・作曲はもとより、プロデュースからミックスやマスタリング、果ては写真まで彼の名前がクレジットされまくり。あるいはこれは、プリンス殿下にとってのBlack Albumといえば近いかもしれない。アクエリアス(DEWAの所属レーベル)の担当がちゃんとクールだったらお蔵入りさせるだろうな、という部分はありますね。それでDhaniは海賊版でこっそり出しちゃう、というのがこのアルバムの正しいあり方ではないでしょうか。ともあれ個人的には次回はBeautiful Experienceな世界に戻ってほしい、と切望しつつ聴きました。
曲評
■1. Pangeran Cinta
★ホ:リムのドンカマを入れてしまうオタクなイントロで始まる。Dewaらしいメロディーのハードロック風ポップ。どんな音楽を採り入れてもポップに落ち着かせてしまうのは流石。ヘッドホンで聴くと、もの凄い音数が詰め込まれているのが分かる。何度か聴き込むと良さが分かってくるスルメ曲。

★蓮:「愛の王子」という恥ずかしいタイトルながらも骨太ロック、でもキャッチー。歌詞カードには「Beat Inspiration by Led Zeppelin」とあるけれど、バスドラのドコドコ感がジョン ボーナムに捧げる、って感じなんでしょうか?オンチェのハイトーンボイスの魅力全開、一緒に歌ってストレス解消!

★キャ:一曲目の印象ってアルバムを決定するようなところがありますが、特に前回のCintailah Cintaや前々回のBintang Limaとこのアルバムのそれらと比較すると、もうその景色がまるっきり異なっているように感じます。まず得意のストリングスアレンジが影を潜め、ひたすらエキセントリックな音のコラージュが配置されています。時折バックグラウンドでうっすらと聞こえる「蠅が何かに群がる」ような音の配置が、その「何か」を想像させて不快にさせてくれます。おいDhani、わかっててやってるんだろ?
■2. Atas Nama Cinta

★ホ:ちょっとアリ・ラッソっぽい?日本人が好きそうな達郎ばりのポップな曲。Bebiのバックコーラスの絡み、ソフトな曲調とハードなフレーズの組み合わせ方の上手さはDhaniならでは。どんな曲もあっさり歌いこなしているOnceも凄い。

★蓮:「神の名を語るんじゃなくて/愛の名において」でいこうよ、という明るいメロディーの聞きやすい曲。みんながそう考えたら世の中平和なはず。ってこれラブソングのようで実はテロ撲滅や世界平和のメッセージなんじゃないだろうか?

★キャ:というわけで不快にさせた後でいきなり青春かよ?と言いたくなるような曲。何考えてるんだろ?

■3. Satu
★ホ:アルバム中で一番良い曲。こういう世界がDewaの特徴と言えるかもしれない。クイーンやケイト・ブッシュのような、広大な美意識で埋め尽くされた世界はイスラム教徒のDhaniが世界に誇れる想像力なのかも。正にDewaとしか言えないオリジナルの境地に既に達している名曲。

★蓮:スケール感のあるDewaらしいスローナンバー。ファンはこういう曲を待っているわけで早速シングルヒット中。「君以外いないんだ〜」と歌いあげるオンチェ、アンドラの切ない系ギターソロがかっこいい。ビデオクリップはダリの絵画のような画面処理の中で、ダニーがスーフィーの回旋舞踏のポーズをとっていたり、ユケが頭を丸めた僧侶になっていたりするシュールな世界。

★キャ:これ・・・・・悔しいけど美曲です。前回のアルバムにKosong(ゼロ)というタイトルの必殺バラードが入ってましたが、Satu(1)なのでその続編でしょうか?Dhaniお得意のストリングアレンジも破綻無く美しいけど、もしかしたら本人はノルマで作っただけなのかも。美曲だけどソツが無さすぎて、ちょっと引きつけが弱いかな。
■4. Indonesia Saja
★ホ:「インドネシア人」というアイデンティティが希薄になりつつある民衆に向けてのメッセージとも受け取れるが、禅問答のように逆に何も歌っていないとも言える(苦)。サウンド的には安くて面白くない。

★蓮:島々が集まって出来た国インドネシアでは、お国自慢がエスカレートぎみ。ナショナリストを標榜するDEWAはこの曲で「俺はジャワ人じゃないし/スンダ人でもない/俺はインドネシア人さ」と歌ってます。

★キャ:よくわかりません???何かのパロディー? 
■5. Sweetest Place
★ホ:単純に英語の歌詞になるとスティングのようなボノのような、強いOnceの声質が浮き彫りになり、世界に通じる歌唱力を持っているのがよく分かる。

★蓮:オンチェ作詞作曲の英語曲。聴いているうちに突然ボノとオンチェの歌声が似ているような気が....。声質なのか歌い方なのか、英語で歌っているからなのか?そんなオンチェの好きなヴォーカリストはボノとフレディー・マーキュリーらしい。

★キャ:英語の歌だけど、全然不自然じゃないです。Dhaniのストリングスアレンジもあっさりと緻密で、それでいてイヤミじゃないし。僕にとってはこの曲から次ぎの曲への流れが、このアルバムのピークですね。
■6. Hidup Ini Indah
★ホ:前曲を受けてストロベリー・フィールドな展開を思い起こす。アイリッシュな響きのストリングもGood。地味ながら70年代ブリティッシュなテイストを各所にちりばめた名曲。この流れで続きを選曲して欲しかった。

★蓮:アコースティック系で力みのない導入から、やっぱりDEWAですね、というストリングスを使った深みのある展開が美しい。こういう曲を淡々と素直に歌われると涙腺にキてしまい、このアルバム中で一番好きな曲。

★キャ:前の曲もそうだけど、この曲もヴォーカルのOnceが作ってます。Dhaniって人の曲を演出すると、ほんと素直にいいとこ出すなあ。サカモト教授がカルロス・ジョビン演奏する時のような素直さというか。やはり天才も内心はエゴから解き放たれたいんだろうな。
■7. Cinta Gila
★ホ:この曲以降からDhaniの世界へ展開していく。積極的にリード・ボーカルに挑戦しているDhaniだが、気持ち悪い歌い方のせいで次に飛ばしたくなる。ちょっとメリー・グスロウっぽい下世話な感じがする曲。

★蓮:チョッパーンペンペ(古...。)なユケのベースソロ、これでもかというアンドラのギターソロに加え、ダニーがネトーっと粘っこく歌うこってり系の1曲。ちょっと食傷。

★キャ:おやおや、またエゴの揺り返しか、はたまたこれが本性なのか。クレジットにはLed Zeppelinからビートを発想した、とあるけど、だとしたら「移民の歌」でしょうか?何だか高校生が初めて誰かの曲を真似して作ったような、そんな無垢なテイストがあります。でも同時に子供だから無礼なところもあって。ジミー・ペイジが聴いたらバカにされたような気分になるかも。
■8. Nonsens
★ホ:Azis(Jamrud)ような「おとぼけセンス」を感じさせる曲だが、Jamrudに比べると固さと単調さが鼻につくが、一度聴いたら忘れないメロディーはJamrudよりも上手い。ブリッジに入ってくるコラージュ的なリードギターがカッコイイ。

★蓮:前曲同様、こってり系。ダニーの新しい試みはノイズを使った渾沌としたイメージ&打ち込み系のなのだろうか。とはいえところどころにDEWA19時代っぽいフレーズがあるような...。

★キャ:いきなり今度は80年代ですか。Thomas Dolbyとか彷彿とさせる世界ですね。聴きながら「サーイエンス」って合いの手入れたら、まあそれはそれで面白いですけど。
■9. Hadapi Dengan Senyuman
★ホ:幅のない歌唱力が曲に負けて、Dhaniが歌う必然性を感じない。モトネタがモロに分かってしまいちょっと恥ずかしい。「リンゴスターみたいに叩いてくれ」という注文だったのかオカズが妙にリンゴ臭くてニヤリぎみ。

★蓮:アコースティックなサウンドとニチャーっとしたダニーの声に違和感あり。他の曲もそうだが、サビ以外の部分を中途半端に歌うんだったら餅は餅屋で全部ボーカリストに歌わせた方がいいのではないでしょうかね?後半合唱隊?が入ってゴージャス。

★キャ:この曲から次のレゲエ風の曲を聴いていて、何だかまじめに聴く気が失せてしまいました。まるで子供が気まぐれで作った替え歌みたいに聞こえる。Dhaniくん、消費者は子供と同じくらい残酷なんだよ、次のアルバムは頼むよ。
■10.Matahari Bintang Bulan
★ホ:70年代風レゲエっぽいアレンジ。ドライな感じがグーだがしつこく割り込んでくるギターがうるさい。サビからOnceのボーカルに変わると一気にモノホンっぽくなりカッコいい。

★蓮:デワ初めてのレゲエ調の曲。ドラムのトヨのハイテクぶりがよく分かる。「今までやっていないことに挑戦したい、ダンドゥットはやらないけどね(笑)」とダニーがコメントしてましたが、Separuh Nafasのイヌールカバー版はかっこよかった。ダンドゥットやって欲しいです。
■11. Aku Tetaplah Aku
★ホ:聴くに耐えないゴミ曲。

★蓮:これはまた素人っぽい...。ダニ−様どうしちゃったんでしょうか。演奏テクは凄い田舎のアマチュアバンドの作った曲のようなあか抜けなさです。これも新しい試みなのかなあ。この方向にいっちゃったらイヤだなあ。
■12. Shine On
★ホ:ハメを外したDhaniも締めくくりはやっぱりDEWAらしくしないとね。イントロで良〜い感じで始まって惜しみないU2のようなキャッチーなサビが耳に残る名曲。
★蓮:ドロドロした曲が続いた最後は爽やか切ない曲で締めくくりですかい。サビの「青い空ーーーーっ」ってな突き抜け感に泣きのスイッチを押され思わず涙。やっぱりオンチェの声はいいなあ。(結局今回言いたいことはこれ)。
2005年6月号より
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