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インドネシア・ポップス
インドネシア・ポップス(I-POPS)の素晴らしさをもっと日本の皆様に知ってもらいたい!!バリ島やインドネシアと聞くとすぐに「ガムラン」「ジェゴグ」などの伝統芸能を思い出しがちですが、こちらの音楽文化はそれだけではありません。「アピ・マガジン」はこちらの若者の間で流行っている「インドネシア・ポップス」にフォーカスし、毎月アーティスト紹介や新譜紹介をしていきます。ぜひバリ島やインドネシアに来たときには、インドネシアのアーティスト達の音楽CDを購入し聴いてみてください。また新しい発見がありますよ。(言葉の勉強になるかも!?)
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ホソルダ・スギアルト
ホソルダ・スギアルト   蓮次郎子 蓮次郎子   キャンディー・甲山 キャンディー・甲山
インドネシア音楽、
特にダンドゥットに傾倒する
アピ編集部・山の親父。
インドネシアのロックと
芸能ゴシップ好きな
アピ編集部・オンチェ命ミーハー主婦。
何を思ったか、インドネシア音楽界で
デビューを目論む中年男
自称音楽デザイナー

インドネシア・ポップス > Vol.49

バックナンバー
SLANK-スランク
  1983年12月、高校生だったドラムのビンビンがCikini Stone Complexというストーンズのコピーバンドを結成、その後、メンバーを変えて、Slankの前身となるRed Evilを結成し、オリジナル曲の演奏を始めた。メンバー交代をくり返し、現在のメンバーに至る。ビンビン(ドラム)、エルウィン(ヴォーカル)、アブディ(ギター)、イヴァン(ベース)、リド(ギター)。
 1991年プロデビュ。彼等の飾り気のないラフなスタイルを愛したファンたちにSLENGEANという愛称で呼ばれたのがバンド名SLANKの由来。ちなみにインドネシアでは「ピーターパン」が「ペットルペン」になってしまうように、「スランク」と発音しても100%通じない。「スレーン」なのだ。メンバー全員がローリング・ストーンズ好きとあって、スピード感あるロックンロールが真骨頂。バラードにも独特の切ない味があるのは全然格好をつけていない見た目がかもし出す雰囲気とサウンドのストレートさ、意外に(失礼)きれいなカカの歌声からか。リーダーのビンビンを中心に、社会問題や政治批判、麻薬撲滅、世界平和、アンチテロリズムなどのメッセージを発信し続け、「社会派ロックバンド」と呼ばれるが、彼等のメッセージは、決して押し付けがましくも説教臭くもない。妙なヒロイズムもない。そこがSLANKのなんともいえないカッコよさであり、若い男性を中心にスランカーと呼ばれる熱狂的なファンを持つゆえんではないだろうか。発売するアルバムはそれぞれ80万枚を売り上げ、1998年には30都市PEACEコンサートで延べ29万人を動員。世界平和を訴え、各国のミュージシャンが参加する“ワールド・ピース・アワード”コンサートには、第1回の2003年バリ島から参加、2005年、イワン・ファルスとともに、“Bersatu Dalam Damai(平和のもとに一つになろう)”ツアーを敢行。アチェ津波被災者支援も積極的に行う。8月には長崎で開かれる第3回“ワールド・ピース・アワード”コンサートに参加のため来日予定。
ディスコグラフィー
●Suit...Suit...He..He..(Gadis Sexy) (1991年)
●Kampungan(1992年)
●Piss!(1993年)
●Generasi Biru(1994年)
●Minoritas(1995年)
●Ladi Sudih(1996年)
●Tujuh (1997年)
●ライブ盤:
Mata Hati Reformasi Konser Piss 30 kota (1998年)
●999+091&2(1999年)
●Ngangkang(2000年)
●Virus(2001年)
●ライブ盤:Virus Road Show(2002年)
●Satusatu(2003年)
●Bajakan(2003年)
アルバム評
 
【収録曲】
1. JKT Meledak Lagi:ジャカルタまた爆発
2. PLUR :Peace、Love、Unity and Respect
3. Ku-Tak Bisa :俺にはできない
4. Biru:ブルー
5. Gossip Jalanan:その辺の噂 
6. Juwita Malam (Blues):
  麗しの宵(ブルース

7.Indonesiakan UNA:インドネシア版UNA
8.Atjeh (Investigation):アチェ(捜査)
9.Samber Gledex:落雷
10.Lo Harus Grak:動き出そうぜ
11.Pasti:きっと必ず
12.Atas Nama Blues:ブルースの名において
13.Juwita Malam (Punk):麗しの宵(パンク
PLUR(2005年、Slank Records)
<ホソルダ・スギアルト> 
殆どをリーダーのBimBimが作曲、インドネシアのストーンズ・フォロワー的統一感でまとめられたロック。ロック好きは全体を通して楽しめるアルバム。音楽性云々よりも「バンド」としての存在がインドネシアではピカいち。ちなみにライブを2度観ているがテレビやCDでは伝わらないボトムの太いサウンドで格好良かった。媚びを売らずクールに自然なキャラもロック・ミュージシャンらしくて好感度アップ。一度ライブを観てみると彼らの良さがよく分かる。
  <蓮次郎子> 
爆弾テロの記憶もまだ生々しかった2003年6月、バリ島で開催された第1回ワールド・ピース・アワード。小柄な身体にアコースティックギターをかかえ、頭にタオルを巻いたボーカリストが最後に「くたばれテロリスト!」と叫ぶと観客は大興奮、それがSLANKでした。彼らの15作目にあたるこのアルバム、タイトルのPLURはPeace、Love、Unity、Respectの頭文字を取って一言にした造語。全編そりゃもうロックンロールありバラードありでSLANKの魅力大全開。さすがの迫力と貫禄です。ペラペラサウンドのバンドや上っ面の技巧だけで歌う歌手がもてはやされる中、このアルバムがインドネシア国内の音楽賞を総なめにしているのは「いいものはいい」ということなのでありましょう。
  <キャンディー・甲山>
名前は知ってるけど聞いたことないなあ、ってゆう会話したことありません?Slankは僕にとってそうゆうグループのひとつです。若者に「ねえ、 ○○○○s とか良くなくないですか?」なんて訊かれるとついそう答えてしまうんですが、裏を返せば「おじさんは若者の心の叫びに興味無いんだよね」というのが本音 なんですね。まあ偏見バリバリなのは承知の上なんですけど。そんなわけでSlankも避けていたわけです。でもいつも愛読していただいているアピ読 者の ため、おじさんはあえて聴き通しましたよ。で、全体の感想なんですが、ちょっとメンタイロックっぽい。表現はロックなんだけど、根っこから道徳とマヌケ さがにじみ出てる。その表現が確信犯なのか本気なのか、言葉がわからないからそこが未だにつかめません。元純情ロケンローラーだったおじさん読者の皆さ ん、ぜひご自身の若気の至りを思い出しながら、赤面して聴いてくださいね。案外悪くないっすよ。
 
曲評
■1. JKT Meledak Lagi
★ホ:スピード感溢れるロック・ナンバーでライブで盛り上がりそうな曲。非常事態も日常化してしまったジャカルタを歌っている。

★蓮:2004年9月に起きたジャカルタ、クニンガン地区のオーストラリア大使館爆弾テロ、「ジャカルタまた爆発だよ/昨日また爆弾テロだよ」「自由化ってこういうことかよ/みんな好き放題だよ」「こんなことする奴らはどっか行け/奴らの居場所なんかあるもんか」。ノリのいいキャッチーなサウンドが逆にやるせない。

★キャ:のっけから有名なBat Manのリフですか。もしかしてSlunkもNaifみたいなレトロ趣味入ってるのかな?
■2. PLUR

★ホ:商業ロックでは出来ない事のひとつ=リフレインと削ぎ落としのカッコ良さを自作レーベルならではの自由さを全面に出した曲で、歌詞は「平和」「愛」「調和」「尊重」4つの単語しか出てこない。4つの単語の頭文字を取って「PLUR」というアルバム・タイトルになっている。ビデオクリップも作られ音楽番組でも流されている。

★蓮:アルバムタイトルの「Peace、Love、Unity and Respect」をひたすらくり返すヴォーカルとコーラス+重めのザクザクしたサウンド。ハノイロックス(涙)のようなこなれた感じがかっこいい。

★キャ:これまたストレートに出たね。Peace Love Unity & Respectしか歌ってません。このドラムパターンではお約束のカウベル音が、ちゃんとしかるべき拍子でコンコン鳴ってるとこも、あっけらかんにストレート。

■3. Ku-Tak Bisa
★ホ:Ridhoのジョン・レノン風ピアノで始まるバラード。「やっぱり別れるなんて俺には出来ない」と恋人に語っているようなラブ・ソング。バラードではKakaが素朴な声をしているのに気づく。

★蓮:「お前から遠く離れるなんて/俺にはできない」。きれいなピアノの旋律とカカの一途な歌いっぷりにクク〜ッ!とくる必殺バラード。直球です。歌詞が分からなくても充分切ないはず。ちょっと弱ってるときに聴いたら泣きのスイッチ入ること必至。

★キャ:ん?やはり彼らってかなり確信犯?この曲構成やギターのサウンドは間違いなくRolling
StonesのAngieでしょ。ひねり4割本気6割のラヴソング。かな?
■4. Biru
★ホ:アニマルズの「朝日のあたる家」みたいでカッコいい。70年代っぽい曲調で今回のアルバムでは曲の完成度が一番高い。凶暴なボトムと早弾きギターソロも健在。Ridhoのジミヘン好きも伝わってくる名曲。

★蓮:映画「Banyu Biru」のサウンドトラック。プログレっぽいぐるぐる感がもろ「嘆き」のメロディとベースライン、間奏のハーモニカ、70年代っぽいギターソロ...聴けば聴くほどかっこいいっす。超好みの一曲。

★キャ:こうゆう曲、自分の中では「インドネシア節」と呼んでいます。実に多くのこの感じの曲が、この国のロックシーンにあふれてますね。やはり湿気が多いせいなのでしょうか?
■5. Gossip Jalanan
★ホ:スウィング感の弱いインドネシアのロックの中でストーンズっぽいルーズなノリを出した、スワンプっぽいブルース進行の曲。Kakaのハープが渋い。明るく歌われると困るけど「法律なんてお金で何とでもしちゃう奴ら...」。これが噂の真相。

★蓮:「噂じゃ」犯罪者が警官に袖の下を使い、被告人が裁判官を買収し、果ては選挙の票の売買と、正義よりも法律よりも金が物を言うインドネシア。「困ったもんだよ/この俺の国は」底抜けに呑気なサウンドが呆れてるようにも聞こえる。

★キャ:これは聞き取れる単語のはしばしから受け取るところ、多少社会派な曲なんでしょうか?もしかして歌詞に皮肉入ってるのかな?
■6. Juwita Malam (Blues)
★ホ:往年の名曲のカバー。Kakaがフランク・シナトラ風に遊んで歌っている。細かく刻むクロンチョンと対照的に引っ張りぎみのベースが良い味出して、PADIっぽい雰囲気。不思議とメロディーに古臭さを感じないのはIsmailの凄いところ。クロンチョンをこういう形で聴くとインドネシア音楽の懐の深さを感じずにはいられない。

★蓮:直訳ができない随分詩的ないいまわしの歌詞だなあと思っていたら1940年代に活躍した国民的作曲家イスマイル・マルズキの往年の名曲。南国ムード満点のゆらぎ感がヤバめのロマンティックな一曲。

★キャ:Seiko Mazda goes to distorted memories ???
■7. Indonesiakan UNA
★ホ:ピアノ伴奏のバラードでリーダーのBimBimがボーカルを取っている。ライブだとペンライト(庶民は100円ライター)ゆらゆらで会場がキラキラのウルウルになるという一曲。「この国で僕らは明るい未来を持てるのか」と切なく静かに訴えかけるるような歌詞。

★蓮:ピアノの旋律が美しく物悲しい。ビンビンの訥々とした舌足らずのような歌声も引きが強い。「インドネシアをよくできるの?/未来はあるの?」という問いに願いと祈りが込められた曲。

★キャ:これも3に続いてAngieの路線ですね。ヴォーカルの表現がもろミック・ジャガー。しかし世界中で一体いくつのバンドが、Rolling Stonesの幻影に呪縛されているんだろうか?やはり鼻につくナイーヴさを追求すると、最終的にミックにたどり着いてしまうのだろうか?
■8. Atjeh (Investigation)
★ホ:新聞の紙面を読んでいるような内容でGAMについて説明した曲。ドラムとベースのコンビネーションが淡々としているようで実は熱くカッコいい。麻薬を買うことでGAM活動に加担しているという事を示唆しているようなメッセージ・ソング。

★蓮:津波で甚大な被害が出たアチェ特別州は、麻薬を資金源とする独立派戦闘ゲリラGAMが跳梁跋扈する紛争地域。そのGAMに噛み付く叫びのような曲。「GAMっていったい何者なんだ/麻薬の金で武器調達かよ/奴らは何でガタガタやってるんだ/イデオロギー?/それとも石油利権のためか?」

★キャ:この曲、やはりどこかで聞いたことあるぞ。この曲でinvestigationと歌ってるところを別の単語に置き換えて、メロディーをメジャーにする と・・・・・ああ、思い出せない。じれったいなあ。
■9. .Samber Gledex
★ホ:最初の一声でキヨシローかと思った。ドラッグに浸かってボロボロだったSLANKが歌うと説得力がある。インプロでドアーズのような間の取り方がアシッド。「今日もまだそんな事してんのか、どうすんだよ?」と繰り返す。

★蓮:渋い。生きながらブルースに葬られます。歌詞に込められたメッセージはアンチドラッグ。「おいお前、何してんだよ、やばいぞ、おいおい!おい!!落雷だー!!」けだるげなカカの台詞が探偵物語のクドウちゃん風だ(意味不明)

★キャ:ここまで聞いてきてふと思ったんですが、このヴォーカリストかなり歌うまいですね。全身でシャウトしてるように聞かせてるけど、実はしっかりピッチやキャラクターをコントロールしてるし、余力40%くらい残して歌ってる感じします。
■10.Lo Harus Grak
★ホ:マーチ風の軽快なリズムで、アルバム中では異色の一曲。ナショナルソングのパロディー的な間奏が笑える。実はダウナー系の前の曲を引継がず神経を逆撫でして「ほら、歩け!」とケツを叩いているようにも受け取れる。

★蓮:明るい前向きな曲調が気持ちいい「勇気出し」ソング。掃除のBGMにするとはかどりそう。間奏のギターソロが凄いです。

★キャ:だんだん高円寺のライヴハウスに、それも友達の義理で仕方なく居るような感じがしてきました。二次会はつきあいたくないなあ。ウブドのカフェでボサノバ 聞きたいなあ。
■11. Pasti
★ホ:売れないが良い曲、という意味でコステロ風(コステロ、失礼!)で爽やかで年季と余裕を感じるナンバー。こういう曲はエセ・ロック・グループには作れません。けっこう好きになった曲。

★蓮:ミョーンミョーンというギターの音が耳に残るラブソング。「信じてくれ/疑わないで/もうしないよ」とは?一体何をしでかしたのか?青春!の一曲。
■12. Atas Nama Blues
★ホ:リフが格好いいブルース・ロック。Kakaのハープも気が利いている。個人的にはもう少し重く演ってほしかった。

★蓮:「友達がみんないなくなっても/仕事中していても/クビにされても/希望が消えても/俺にはブルースがあるさ」というKAKA作のブルース。他の曲もそうだがハーモニカ演奏もカカ。
■13. Juwita Malam (Punk)
★ホ:6曲目の別テイクをおまけで収録。パンクと書いてあるけど、これはパンクなんだろうか?ちなみに民放テレビ曲でSLANKのバックでオリジナルの歌手がこの曲を歌うという企画も実現した。

★蓮:6曲目のパンクバージョン。メンバーが楽しんで演奏してる様子が伝わってくる。ビデオクリップはサングラスにタキシードの怪し気なメンバーが、サビになるといきなりカメラに食いつくようにシャウトし始める英国ブラックジョーク風の洒落た演出。

★キャ:というわけで11,12と聞き流してしまったんですが、最後の曲は6の別ヴァージョンですね。歌謡曲のメロディーに高円寺ロックな周波数。しかし熱帯の インドネシアでこの周波数、君たち本当に暑苦しくないのか?
2005年7月号より
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