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インドネシア・ポップス
インドネシア・ポップス(I-POPS)の素晴らしさをもっと日本の皆様に知ってもらいたい!!バリ島やインドネシアと聞くとすぐに「ガムラン」「ジェゴグ」などの伝統芸能を思い出しがちですが、こちらの音楽文化はそれだけではありません。「アピ・マガジン」はこちらの若者の間で流行っている「インドネシア・ポップス」にフォーカスし、毎月アーティスト紹介や新譜紹介をしていきます。ぜひバリ島やインドネシアに来たときには、インドネシアのアーティスト達の音楽CDを購入し聴いてみてください。また新しい発見がありますよ。(言葉の勉強になるかも!?)
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ホソルダ・スギアルト
ホソルダ・スギアルト   蓮次郎子 蓮次郎子   キャンディー・甲山 キャンディー・甲山
インドネシア音楽、
特にダンドゥットに傾倒する
アピ編集部・山の親父。
インドネシアのロックと
芸能ゴシップ好きな
アピ編集部・オンチェ命ミーハー主婦。
何を思ったか、インドネシア音楽界で
デビューを目論む中年男
自称音楽デザイナー

インドネシア・ポップス > Vol.51

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CHRISYE(クリシェ)
老若男女問わず幅広いファン層を持つ国民的シンガー。本格的なソロデビューから27年(音楽活動は1968年から)の大御所だが、聞く人を癒す透明感のある高音の歌声はいつまでも若々しく年令不祥。伝説のプログレバンドGipsyにヴォーカル、ベーシストして参加、1971年から2年間N.Yでの活動経験がある。往年の名曲をリメイクしたり、若手を含めたさまざまなアーティストと共演するなど新しい試みに精力的に取り組み、今でもインドネシアポップスを牽引し続けている。ドラマやCMにも新旧の曲が頻繁に使われており、1977年初出の「Badai Pasti Berlalu:嵐はきっと過ぎ去る」が、津波災害で壊滅的な被害を受けたアチェへの応援歌的にメディアで取り上げられ、たくさんの人々の胸を打ったことも記憶に新しい。1986年フジテレビ演歌フェスティバル優勝という不思議(?)な受賞歴もある。
ディスコグラフィー
1977年 Guruh Gipsy:グル ギプシー
1976年 Lilin-Lilin Kecil(シングル):小さなロウソク 
1977年 Badai Pasti Berlalu:嵐は必ず過ぎ去る
1978年 Sabda Alam:自然の御声
1979年 Percik Pesona:溢れる魅力
1980年 Puspa Indah Taman Hati :心の庭の美しい華(ソロ)
1981年 Pantulan Cinta:恋の反動 (ソロ)
1983年 Resesi :寂しさ(ソロ)
1983年 Metropolitan:メトロポリタン
1984年 Nona:お嬢さん
1984年 Sendiri:ひとりきり
1985年 Aku Cinta Dia:彼女に恋してる
1985年 Hip Hip Hura:ヒップ ヒップ フラ
1986年 Nona Lisa:リサ
1987年 Jumpa Pertama:初めての出会い
1988年 Hening, Kidung :純粋、聖歌 (ニューアレンジ)
1989年 Pergilah Kasih:恋人よ去れ(ソロ)
1992年 Cintamu Tlah Berlalu:過ぎ去った愛
1993年 Sendiri Lagi:またひとり
1994年 Kesan Dimatamu:君の目の印象
1996年 AcoustiChrisye:アコースティックリシェ
1997年 Kala Cinta Menggoda:恋の悩み
1999年 Badai Pasti Berlalu:嵐は必ず過ぎ去る(再録音)
2001年 Konser Tur Legendary 2001:伝説のコンサートツアー
 
2002年 Dekade:世紀
クロンチョンからデワまで、インドネシアポップス新旧の名曲をカバー。アレンジは全曲エルウィン・グタワが手掛けている。クリシェとエルウィンに新しく命を吹き込まれた曲のひとつひとつが素晴らしいおすすめ盤。セクシー美人モデル、ソフィア・ラジュバがシンガーとして参加している。
 
 
アルバム評
 
【収録曲】
1. Jika surga dan neraka tak pernah ada(Tears Never Dry):天国も地獄もなかったら
2. Bur-Kat:早く言ってよ
3.Menunggumu:君を待つ
4. Luna Kelam:沈んだ月
5. Panah Asmara:恋の矢
6. Beku:凍結
7. Cinta yang Lain:ほかの愛
8. Suatu Persembahan Cinta:ある愛の捧げもの
9. Tjah Ajoe:かわいいお嬢さん
Bintang Di Sorga
(2004年:PT. Musica Studio's)

<ホソルダ・スギアルト> 
男なのか女なのか、年寄りなのか子供なのか、怒っているのか笑っているのか分からない不思議な風貌の歌手。Chrisyeを初めて聴いたのは1990年頃にバリ島で買った80年代のベスト盤だったと思う。「エアサプライのような声の人だ」と思った事を覚えている。デビューから30年近くも男性歌手としてトップの座を守っているPop Indonesiaの大御所Chrisye。彼はMusicaにとってAppleのiPodのような稼ぎ頭。 今回は2004年に発売された最新盤。レーベルの枠を超えて参加した9組の若手アーティスト(Dhani(Dewa)、Project Pop、Ariel(Peterpan)、Erros(Sheila On 7)、Tohpati、Ricky FM、Enda Ungu、Ferdy T(El em ent)、David(Naif)など今売れている超豪華メンバー)が1曲ずつ担当し、敬意を持って「Chrisyeという素材とどう共演するか」という課題に取り組んだ企画アルバム。それぞれのホームグラウンドで録音とMixをして持ち寄った作品をMasicaで最終マスタリングして発売されている。契約上の問題で(Eross、Tohpati)の名前がCDジャケから消されて再発されているのが残念。その風貌と同じくニュートラルで透明感のある歌声は健在だった。不思議なChrisyeの声で様々な個性をやんわりと包み込んでバランスのとれた彼らしい「良質なポップス」に仕上がっている。 音楽CDの他に制作過程の逸話や参加アーティストの紹介などが入ったボーナスVCD「Behind The Scenes」のおまけ付き。
  <蓮次郎子> 
実は結構長い間クリシェを歌手じゃなくて宗教関係のヒトだと思っていました。後に同僚から「Dekade」のカセットをもらいましたが、彼女の真意は「求道者クリシェの汚れのない歌声を聞いて己の罪を悔い改めよ」ということだったのかも知れません。今回のアルバムは若手ミュージシャンと共演した意欲作、ある意味お得な一枚です。R.I様に代表されるようなコッテリオイリー系が多いインドネシアの大御所シンガーの中で、ひとり涼しく爽やかな永遠のお兄さん“マス”クリシェですが、体調を悪くして現在入院中、早くよくなって、またあの澄んだ歌声を聞かせてほしいです。
  <キャンディー・甲山>
Chrisyeの曲ってけっこう好きです。なんか山下達郎なんかが出てきた頃の日本のLate 70s'ポップスのニオイがするんですよね。浜トラとか鈴木英人のイラストなんかが似合う世界というか。そうゆうニューミュージックが心底好きなわけじゃないけど、その後の思い詰めたようなニューウェーヴや、それ以前の貧乏臭いフォークには無かった風通しの良さが好きです。彼の作るメロディーにはそうゆうキャラがありまして、例えて言えば服部克久がオーケストラアレンジしても、あるいは小沢健二が新山の手ヒップホップにしてもいけちゃいそうなメロディーの自由さというか。そうゆうのを期待したわけでが・・・・・あれっ、これって他人の作品をChrisyeが歌ってるアルバム?逆の企画だった方が面白かったんじゃないかな?とか思いました。個人的にはMusica Studioのエンジニアで知り合いの、Rizal君の名前がライナーにあったのでちょっと嬉しかったです。
曲評
■1. Jika surga dan neraka tak pernah ada
★ホ:透明なChrisyeの声とDhaniの才能が結実し、Chrisyeの新しい魅力を引き出す事に成功した名曲。暗く静かな雰囲気の中で浮遊感のあるメロディと美しいストリングスが絡む。ビデオクリップも作られて音楽番組で頻繁に流されているヒット曲。Dhaniよ、さてはDewaで手抜いたな?

★蓮:プロデューサーとしても活躍中のダニー、さすがの迫力。映画のタイトルバックにでも使えそうな独特の雰囲気がある曲。クリシェの透明な質感の声とダニーの粘っこいボーカルが聖と俗で対照的。シングルヒットしてます。

★キャ:いきなり無理矢理DEWAの世界に持ち込もうとするかね。DhaniとChrisyeの間には、どうしても埋められない世界観の相違があるような気がするのですが。焼き肉とスシはどちらも好物だけど、やはり一緒には食べたくない、という感じだろうか。
■2. Bur-Kat

★ホ:前曲から一変してProject Popの底抜けに明るいパーティー系70年代ソウル・テイストのラップ。ちょっとオジサンには辛い。

★蓮:プロジェクトポップらしい企画もの、クリシェのラップ!しかもハマってる!インドネシアのヒップホップって一昔前のアイドルみたいでなんだかなー。でも“脇がクサイ”なんて曲もあるプロジェクトポップだからなー、わざとかも知れないなー。

★キャ:これいいね、軽くってヴァイヴ良くって。なんかこのProject Popって素直にChrisyeにリスペクトしてる感じがします。作法としては古くさいヒップホップなんだけど、曲の個性が本人の声質に無理なくマッチしてる。「壁の穴」の納豆明太パスタでスペイン坂という感じか。悪くない休日デート。

■3. Menunggumu
★ホ:100%Ariel節全開の曲。融通の利かないArielのせいでChrisyeはいつの間にかBG.Vocへと転落(笑)してしまうのであった!おいっ!Ariel!売れてるからって調子に乗るんじゃないぞ! Chrisye様に失礼だろうが!!

★蓮:前奏は“Semusim”でそれ以外はピーターパン100%。せっかくの企画なのにアリエルが前面に出すぎていてクリシェの存在感が薄いのがもったいないです。前号で紹介したピーターパンのアルバムの中に、ソックリの曲があったような....。それにしてもアリエルはしょっちゅう“Menunggumu:君を待つ”っていうフレーズ使いますね。

★キャ:なんか違うんだよなあ・・・・・Chrisyeってキャッチーだけど、実はかなり屈折したメロディーセンスしてる人だと思うんですよね。 Peterpanみたいに素直な直球JPOP路線だと、どこか違和感あるんですよ。つかみは充分あるけど、曲の展開も尻切れトンボだし。何でもオタフク ソースかけちゃう人みたいだ
■4. Luna Kelam
★ホ:明らかに往年のChrisyeを意識して作られたメロディーでハマりすぎの妙。「昴」のようだとも言えるが(笑)、この曲からSheila On 7を連想しなかったのは、Errosの幅の広い許容量を表現した結果となっている。初めて聴いたChrisyeもこんな印象だったなぁ。

★蓮:サビの美しい旋律とクリシェの天から降ってくるようなボーカルに、すさんだ心をゴシゴシ洗われる賛美歌みたいな曲。泣かされたとです。聖職者みたいなクリシェの魅力を最大限に引き出したシェイラ オン7風味ゼロの柔軟なプロデュースがお見事。

★キャ:ChrisyeをStingに見立ててるんだろうか?でかい皿に盛られた色鮮やかなサラダ、しかしその実体はほとんどレタスなのだった。
■5. Panah Asmara
★ホ:この曲も「ベテラン技で軽く一丁上がり」でChrisye Banget(超Chrisye的)な曲になっていて、昔流行ったChrisyeの曲じゃないのかと思うほど。控えめなバースのアナログ音の処理がお洒落。スンダのクンダンを全面に入れているチャンプル加減は上手すぎる。

★蓮:トパティの曲ということで、やっぱすあっさりオシャレ系?と思いきや、後半のサビ部分はクリシェらしい爽やかほのぼのテイスト。懐かし風サウンドにハマります。

★キャ:これもいいね。メロディーが素直にChrisyeしてる。パーカッションの音質がペコペコしてて、本物志向のこの時代によくやった!それから名人Indroのベースワークが、見事に西海岸セッションマンっぽい味わい。このくらい思い切って料理してくれなきゃオジサンは納得しないぞ。夏の終わりに湘南で食ったミルフィーユの味がするね。
■6. Beku
★ホ:前にこのコーナーで取り上げたDewa(Laskar Cinta)に入っていた「Hidup Ini Indah」と似ていてVocハモがよりQueenっぽいので、てっきりDhaniの連作かと思ったらRickyだった。この2曲を聴き比べてみると面白い。

★蓮:ぼけーっとしてるときにラジオで聴いたらデワの新曲かと思ってしまいそう。サビのクリシェの声がオンチェの声のように聴こえるのは、サウンドがデワっぽいからであって、ついに私の耳がオンチェ耳になってしまったからではないはず。

★キャ:なんか狙ってない?シネトロンの主題歌とか。だから言ったでしょ、Chrisyeはかなり屈折したメロディーセンスしてるんだから。しかもこれじゃあDEWAの寄せ集めっぽいじゃん。Chrisye本人が曲のキャラをトレースして、誠実に歌おうとしてるのがかえって痛々しい。初めて彼女の手料理を食べて「うん、うまいよこれ」ってウソついてるみたい。
■7. Cinta yang Lain
★ホ:カッコいいドラムのイントロで始まり直線的に盛り上がっていく曲。メロディ自体はよくある感じなのに古さを感じずに自然に聴ける。ちょっと間違うと超ダサダサという微妙なバランスの上に出来ている曲。けっこう印象に残った。

★蓮:「僕を忘れてくれ/美しい愛なんて僕に望まないでくれ」という歌詞が、もともとひんやりした質感のクリシェの声と相まって、実はかなり冷たい世界を作っている曲。やさしい言い方でよく聞くと実は冷たいことを言ってるような大人のこわさを感じます(笑)。

★キャ:うーん、むつかしいなあ。合ってるんだか合ってないんだか・・・・・これもアリなのかなあ???ちょっと説明しにくいけど、こうゆうのがインドネシアで未だつかめない部分なんだよな。何言ってるのかわからないでしょ?そうなんです、単に酔っぱらってるんです。
■8. Suatu Persembahan Cinta
★ホ:綺麗なメロディとコード展開、編曲と完璧なポップスの曲作り定石でまとめられた秀作。でも意外に記憶に残らない曲になったのが優等生の弱みか。Chrisye以外誰が歌うんだ?と思えてくる仕上がり。

★蓮:冷たい曲でゾっとさせた後にはラブソングでほっとさせようという流れでしょうか、「君と一緒にいたい/君を愛したい/これからもずっと」といったウソっぽい甘甘な歌詞もクリシェが歌うと誠実に聴こえます。美声は得ですな。

★キャ:アルバム中でもとりわけChrisyeっぽい感じが素直に引き出されてるな、って思った。デュエットしてる意味もちゃんと成立してる。彼の曲ってなめらかで取っつきいいんだけど、気が付いたらとんでもない方向に行っちゃってた、みたいな屈折さがあって、そういうところもちゃんと出てます。ウナギのプロヴァンス風バタヴィアンソース???
■9. Tjah Ajoe
★ホ:これはFerdyとは全く逆の「定石外し」が得意なNaif作。でもメリーみたいにイヤミじゃなくレトロで暖かい空気感を作り出している。アルバムの最後にNaifを持ってきたのは正解で、「なんか背中がまだカユいのになぁ」というムズムズさせて、また最初から聴いてしまうのだ(きっと)。最初に戻るとDhaniだけどね(笑)。

★蓮:Tjah Ajoeと書いてチャ アチョと読む古いインドネシア語がタイトル。歌詞にも時代がかった言い回しが使われていて、サウンドもちょっとレトロ風。アルバムの締め括りにピッタリの“ステキ”な曲。Posesifに引き続きビデオクリップは可愛く着飾ったアフィとの共演ってことで、ぜひ。

★キャ:屈折さ加減ではこちらも引けを取らないNaifとの共演。僕はNaifにはフランスのバンド"Air" と同じニオイを感じるんです。両者ともただのリヴァイヴァルでは片づけられない、したたかで冷静な音響派センスがある。個人的にはこの組み合わせ、アルバム一枚作る価値あり、という絶妙のコンビネーションだと思うんですよね。で、何回も本気リピートしちゃいました。もっと食べたい、なのにもうラストオーダー?
2005年9月号より
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