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インドネシア・ポップス
インドネシア・ポップス(I-POPS)の素晴らしさをもっと日本の皆様に知ってもらいたい!!バリ島やインドネシアと聞くとすぐに「ガムラン」「ジェゴグ」などの伝統芸能を思い出しがちですが、こちらの音楽文化はそれだけではありません。「アピ・マガジン」はこちらの若者の間で流行っている「インドネシア・ポップス」にフォーカスし、毎月アーティスト紹介や新譜紹介をしていきます。ぜひバリ島やインドネシアに来たときには、インドネシアのアーティスト達の音楽CDを購入し聴いてみてください。また新しい発見がありますよ。(言葉の勉強になるかも!?)
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  蓮次郎子 蓮次郎子 キャンディー・甲山 キャンディー・甲山 キャンディー・甲山 Hacchan'
インドネシアのロックと
芸能ゴシップ好きな
アピ編集部・オンチェ命ミーハー主婦。
何を思ったか、インドネシア音楽界で
デビューを目論む中年男
自称音楽デザイナー
ワールド・スキャット=コーラス・グループ、
Pecombo(ペコンボ) のメンバー&
サウンド・プロデューサー from TOKYO

インドネシア・ポップス > Vol.57

バックナンバー
netral(ヌトラル)
インドネシアを代表するオルタナ系ロックバンドと評されるnetral(ヌトラル)。デビューから現在に至るまで、純粋に自分達の表現したいサウンドを突き詰め続け、その高い音楽性で海外にも熱狂的なファンを持つ。1992年ジャカルタの高校生だったバグース・ダナール・ダハナを中心に結成。ジャカルタを中心に地道なライブ活動を続けて着実にファンを増やす。1994年にファーストアルバムをリリース。テープとCDでインドネシアのインディーズバンドとしては驚異的な8万ユニットを売り上げマスコミの注目を浴びる。1998年に3作目となるアルバム「Album Minggu Ini:今週のアルバム」を発表し、ジャワ-スマトラ島24都市ツアーを敢行した。現在も精力的にライブを行っている。メンバーの真摯でひたむきな姿勢がファンはもちろんマスコミや業界関係者、同業のミュージシャンにまで好感を持って受け止められ、ダニ・アフマッドやデシー・フィトリがその後のアルバムにゲスト参加している。数回のメンバーチェンジを経て現在オム・バグース(Vo、Bass)、バン・エノ(Dr)、デン・チョキ(G)の3人。影響を受けたバンドにNirvana、Sexpistols、 Sonic Youth、 The Cureなどの名を上げている。
ディスコグラフィー
   
●Tidak Enak(1996年)
●Album Minggu Ini(1998年)
●Paten(1999年)
●netral The Best:ベスト版(2000年)
●Oke Deh(2001年)
●Kancut(2003年)
●Hitam(限定版、2005年)
●Putih(2005年)



アルバム評
 
【収録曲】
1.Terompet Iblis:悪魔のトランペット
2.Terbang Tenggelam:浮沈(飛ぶと沈むですが..)
3.Hari Ini:今日
4.Haru Biru:混乱
5.Sorry

6.Menyendiri:ひとりきり
7.Koma:瀕死
8.Hujan di Hatiku:心の雨
9.Super Hero:スーパーヒーロー
10.Sinting:変人
11.Di Pantai Di Kala Rembulan:美しい月の海岸で
Putih(2005年リリース)

 
 
<おすすめした人:蓮次郎:インドネシアの芸能ゴシップとロック好きなオンチェ命ミーハー主婦>
netral(ヌトラルと読む)の7枚目のアルバムはタイトルそのまんまの真っ白のジャケットと曲の内容に合わせたワンポイントイラスト付きの歌詞カードにセンスを感じます。2005年総まとめ企画でも書きましたが、丁寧に作られた愛のある1枚。ゴスゴスな曲もアコースティックな曲も海坊主系コワモテのオム・バグースのちょこっと泣きが入ってる真直ぐな歌声が温かい(かわいい?)味を出しています。サウンドの端々からポジパンの幻影がフラッシュバックしてきてちょっと泣けました(笑)。ヒット曲のTerbang Tengglam、Di Pantai Di Kala Rembulanも収録。ドラムに惚れました。

<おすすめされた人:キャンディー・甲山:何を思ったか、インドネシア音楽界でデビューを目論む中年男・自称音楽デザイナー>

僕がちょくちょく滞在する東ジャワのある地方都市(というか田舎町)で、若者から「netral好きか?」とたびたび質問されました。彼等はだいたい目がまっすぐなバンドやってる大学生、って感じなんですけど、僕がnetral聴いた事無いのが分かると、質問は「じゃあSlankはどう?」って続きます。で、今回やっと初めて聴く機会に恵まれたわけなのですが、聴きながら彼等の顔が見えるようだった。もしかしたらnetralってインドネシアのフツーの若者の、ある意味最大公約数的表現なのかもしれないな、ってデタラメなストーリーを思い浮べながら聴きました。
 
曲評

Title: Terompet Iblis
★H:ありえねー/人を批判したり/侮辱したり/自分は完璧/自分は神様/なんていう奴は悪魔のトランペットを吹きつけられてカンチガイしてんじゃねーの?という話し言葉調の歌詞を明るいパンクなサウンドであっさり歌ってます。ベースラインがかっこいい。

★蓮
けたたましく鳴る目覚まし時計か、はたまた携帯電話か。ともかく今日も一日が始まるのであった。もう朝飯を食べてるヒマは無い。どうして急いでいるのか分からないけど、ともかく若いっていうのは、何かと忙しいのだ。
 
Title: Terbang Tenggelam
★蓮:クニャクニャしたフレーズが続くギター、抜けた感じのドラム、オム バグースの一本気なボーカルが混然一体になって聴いているうちに追い立てられるように切なくなるヤバイ曲。このヤバ切ないのがインドネシアの若者に受けたのかシングルヒットしました。

★キ
しかしこのバンド、テンポ設定がせっかちだな。CDでこれなんだから、ライヴではさぞかし早いんじゃなかろうか?階段を駆け下りるようなギターを聴いていると、これって深い部分でバティックの文様なんかと通じる感性なんじゃないか、とか思います。
 
Title: Hari ini
★蓮:タメてタメて、んでもって重いサビが来るというリンキン・パークがよくやる曲の流れが流行っているのかな?確かに劇的ではありますがそろそろ飽きてきました。タメ(笑)は耳に残るギターフレーズやリムなどの小技が効いていてサウンド作りの丁寧さが伝わってきます。

★キ:PoliceのMessage in a Bottleとか思い出しました。とはいえPoliceにはレゲエやカリプソの影がいつもつきまとっていたけど、彼等の直線的リズムにはそれが皆無なようだ。案外カシオペアとかに影響されていたりして。
 
Title: Haru Biru
★蓮:演説のように読み上げられる歌詞の言わんとすることが汲み取れず、同僚に聞いてみても「うーん。よく分らないなー」「結局のところ、俺は負けないぞって言ってるんじゃない?」インドネシア人でもハッキリ分らないという難解さ。政治家のパロディ?

★キ:何だか変な感じがする。音を構成する要素は「悪魔的」みたいな世界を狙っているのが分かるのだけど、その根っこがメッチャ健全なのだ。そもそも演奏がとてもキッチリしてる。さては君たち練習の鬼だな。
 
Title: Sorry
★蓮:タイトルどおりあやまりっぱなしの歌詞。サウンドは骨太なのにダメダメ感溢れる可哀想さが漂っているのは、オム・バグースのコワモテかつ愛らしい外見が大いに影響していると見た。

★キ:ゴメンネ、ゴメンネ、って何回も謝ってるけど、彼女と問題でもあったのでしょうか?女の子って謝れば謝るほどその状況に腹を立てて、そのくせ翌日には忘れちゃうようなとこがあるから、まあここはオヤジギャグでかる〜くさ、「アイアムソーリー、ヒゲソーリー」なんちゃって・・・・・ゴメンネ。
 
Title: Menyendiri
★蓮:疾走感のあるドラムがかっこいいやら懐かしいやら。リズムをはずす寸前の明るい高速サウンドの最後に、軽快なギターフレーズがさりげなく入るのが洒落てます。

★キ:そんなこんなで、ひとりきりになってしまいました、って感じか?でもつくづく爽やかなバンドだよな。僕が現場系事業主でバイト雇うとしたら、間違いなく彼等は採用だな。で、社長は昼間っから安心して、用も無いのに打ち合わせに出かけちゃう。だめ?
 
Title: Koma
★蓮:ギターとベースの機械的な刻みがThe Sisters of Mercy を彷佛とさせる業の深いナンバー。歌詞も死にそうに真っ暗だ!トランスレーベル系黒ずくめの80年代を送ってしまった方、コレはきますよ。関係ないけどマダムのZINは麗しかったなあ。ソドムのザジも。

★キ:このテンポでこのビートだからちょっと気がつかなかったけど、案外イイ曲ですね、これ。サーフロック風に演出して、印象的なギターリフひとつくっつけたら、もうちょっとイナタイ雰囲気出るかも・・・・・なんて本人たちは全然そんな気無いだろうけど。
 
Title: Hujan dihatiku
★蓮:アコースティックなサウンドにのせて、家の窓から眺めている雨の風景を描写した歌詞が秀逸。一転、激しい悲しみの感情を吐露する重いサビのコントラストが鮮やかです。とぼけた味のある歌い方と泣きの入ったハイトーンボーカルで歌い分けているオム・バグースもお見事。

★キ:ジョグジャの路上食堂でメシ食ってたりすると、こうゆう歌唄う若者がやってきて空き缶差し出したりするもんですが、ある時感じが良い若者だったのでついつい多めに入れてあげたら、何曲も唄ってくれて。食い終わったけど席を立つのが悪いような状況になってしまい、ちょっとしんどかった。
 
Title: Super Hero
★蓮:空を飛ぶようなスピード感のあるさわやかで明るいサウンドと「飛べ!俺のスーパーヒーロー」という素直な歌詞がかわいらしくもStand by meな曲。

★キ:日本にもこうゆうタイプのバンドってあるんだけど、netralの場合そのスタイルの成立背景が決定的に異なっているんじゃないか、と思う。まず技術レベルが非常に高く、構成に破綻が無い。そして何よりもその表現に、井伏鱒二の「山椒魚」で象徴されたような煩悶は、微塵も感じられないのである。
 
Title: Sinting
★蓮:ノイズ系のギターフレーズが印象に残る密度の濃いナンバー。そうさ俺は変人さ/礼儀知らずでいい加減/気にするもんか/大切なのは/自分を騙したり/他人を騙したりしないこと。正直に生きようとすると風当たりが強くなるのはどこも同じ。ましてや建て前ばかりのインドネシア..。ある意味PUNKな曲です。

★キ:曲のタイトルはえてしてそのイメージを補強するものだが、この曲のタイトル「変人」をどう連想しても、曲そのものと結びつかないのだ。全然変じゃない。あるいは心ない誰かに「変人」と言われ、ちょっとメゲている、という曲なのだろうか?気にしないでいいよ、キミは十分マトモだから。
 

Title: Dipantai kala rembulan
★蓮:一転してリゾートにピッタリなアコースティックテイストのおしゃれな世界。プロモーションビデオは70年代っぽい色合いでメンバーがプールサイドのステージで演奏する洒落たものでした。この方向のも聴いてみたいです。てなわけで次作も楽しみなnetralでした。

★キ:ずっと聴いてきて思ったのだけど、やはり彼等ってとてもまっすぐで、ともかく演奏するのが大好きな連中なんだ、きっと。ギミックなんて潔しとしないし、もっと向上したいと日々努力しているに違いない。それはそれで好感が持てるんだけどね、個人的にはちょっと物足りないわけです。Queenにフレディーが不可欠だったように、netralにもそんな異質な要素が加わればなあ、もっと化けるのになあ、とか思ったりするのだよ。おいおい、マジメにうなずくなよ!

 
 
2006年5・6月号より
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