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インドネシア・ポップス
インドネシア・ポップス(I-POPS)の素晴らしさをもっと日本の皆様に知ってもらいたい!!バリ島やインドネシアと聞くとすぐに「ガムラン」「ジェゴグ」などの伝統芸能を思い出しがちですが、こちらの音楽文化はそれだけではありません。「アピ・マガジン」はこちらの若者の間で流行っている「インドネシア・ポップス」にフォーカスし、毎月アーティスト紹介や新譜紹介をしていきます。ぜひバリ島やインドネシアに来たときには、インドネシアのアーティスト達の音楽CDを購入し聴いてみてください。また新しい発見がありますよ。(言葉の勉強になるかも!?)
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蓮次郎子

蓮次郎子

インドネシアのロックと
芸能ゴシップ好きな
アピ編集部・オンチェ命ミーハー主婦。

キャンディー・甲山

キャンディー・甲山

何を思ったか、インドネシア音楽界で
デビューを目論む中年男
自称音楽デザイナー

インドネシア・ポップス > Vol.60
昨年から今年にかけて「Teman Tapi Mesra」と「Lulaki Buaya Darat」が大ヒット。覚えやすいキャッチーなエレクトロニックサウンドと“エロかわいい”ルックスで、2006年の話題をさらったマイア・アフマッドとムラン・キウォッの女性デュオ。デビューは2003年1月、DEWA19のアフマッド・ダニ夫人マイアとDEWAのバックボーカリストだったピンカン・マンボが、ダニのプロデュースでアルバム「Bersama」をリリース。R&Bを取り入れた「Aku Baik-Baik Saja」「Salahkah Aku Terlalu Mencintaimu」「Jangan Bilang Siapa-Siapa」がシングルヒットした。2004年ピンカンが突然の妊娠を発表し脱退、さまざまな憶測が飛び交いマスコミを賑わせた。2005年8月、新しいボーカリストにムランを迎え、それまでのフェミニンなスタイルからロック風セクシー路線へイメージチェンジして放った「Teman Tapi Mesra」が空前の大ヒット。同曲を収録したコンピレーションアルバム「Ratu &Friends」は実質2曲だけの参加にもかかわらず40万枚を売り上げてダブル・プラチナディスクを獲得した。今年5月にヒット中の新曲「Lelaki Buaya Darat」を収録したアルバム「No Satu」をリリース。発売当日だけで20万枚を売り上げ、ニュースで取り上げられるほどの社会現象となった。CMタレントとしても引っ張りだこ、芸能ゴシップ方面にも派手な話題を提供している。
ディスコグラフィー
ラトゥ
■Bersama 2003年 
■Ratu and Friends
(コンピレーションアルバム) 2005年

 

アルバム評
No Satu
■No Satu(2006年 Sony BMG)
【収録曲】
1. Lelaki Buaya Darat:陸上ワニ男
2. Semakin Hari Semakin Cinta:日が経つほど恋しく
3. Dear Diary:ディア・ダイアリー
4. Seribu Cinta:1000の愛
5.Teman Tapi Mesra:友達以上恋人未満(意訳)
6. Lulaki Yang KUmau (Jazz Up Your Life):私が欲しい男
7. Ratu Sejagat:全世界の女王
8. No.Satu:No.1またはNo One
9. Didadaku Ada Kamu:私の胸には貴方が
10. Aku Pasti Kembali:きっと戻るわ
11.Teman Tapi Mesra (Akustik)

<聞いた人その1:キャンディー・甲山:何を思ったか、インドネシア音楽界でデビューを目論む中年男・自称音楽デザイナー>
まずはジャケットをよーく眺めてください。それからYouTubeで "RATU Teman Tapi Mesra" または "RATU Di Dadaku Ada Kamu" を検索。それらを何回か観た後おもむろにCD再生、それがこのアルバムの正しい聴き方です。「そんなに歌うまくないじゃん」とか野暮なことは言いっこ無し。これはれっきとした、由緒正しい企画物の「歌謡曲」なんです。ちょいワルねえさんがやりたい放題、かたいこと抜きでいきまショー、って感じでスカッとダマされてください。少なくとも日本のコンビニで流れてるような、「説教くさい曲」や「癒されて泣ける曲」の100倍好きだね、あたしは。ともあれRATUの仕掛人は、RATU・Maiaの旦那であり、現在のアジアで最もポテンシャルの高いバンド・DEWA19を率いるAhmad Dhaniであることは間違いない。この男、完全にアタマのふた開いてるな。
<聞いた人その2:蓮次郎子:インドネシアの芸能ゴシップとロック好きなオンチェ命ミーハー主婦>
ラトゥと言えば「Aku Baik Baik Saja」でしょう、ピンカン脱退して残念だね、なーんて言ってて、気が付いたらマイアが新メンバーと一緒にコスプレ人形みたいな格好してノリノリの歌謡曲ポップスに合わせてクネクネ踊ってて、それがけっこういい感じでカラオケで歌おうと思ってCD買っちゃったのよね。みたいな流れで(どんな流れだ)2006年のインドネシア芸能界を席巻したハレルヤ・ハリケーンなママさんアイドル2人組です。80年代UKポップスアイドル風な外見と曲に惹かれて「Ratu & Friends」を買い「このタイトルとジャケットで2曲だけ?なんだこりゃ!!」と激怒してから1年、もうどうでもよくなりましたが、ようやくほかの曲も聴けるわけですね。
曲評

■1.Lelaki Buaya Darat
:「ワニ男め/Busyat!/また騙されちゃったわ」Busyetは...ウヒャー!ってところでしょうか。「プレイボーイに騙された女性の気持ちを代弁(マイア談)」したカラッと明るい大ヒットナンバー。シャープのTVのCMにも使われています。「イイオト!」
★キ:Buayaは「ワニ」でDaratは「陸」だろ?それでLelakiは辞書に載ってないからLeとlakiに分解してみて・・・・laki-lakiが「男」か。じゃあ「陸ワニ男」って曲なのかこれは???この絶望的語学力でレヴュー書いている自分も自分だが、そんなことおかまい無しにノセてくれるこの曲はイイ!
 
■2.Semakin Hari Semakin Cinta
出た!ダニ!ギターフレーズもまんまアンドラです。DEWA19が好きな人は楽しめる曲でしょう。
★キ:歌謡曲にはおおまかに分けて、「異性に向けのもの」と「同性に向けたもの」という2種類のターゲットがあるのだけど、RATUは明らかに後者なんだろうね。だってこうゆう「気持ちたっぷり入れてみました」みたいな曲なのに、色気がまるで伝わってこない。というか、このアルバム全般に言えるんだけど、表現が非常にカラオケっぽいんですね。というわけで次の曲へ続く。
 
■3.Dear Diary
:このアルバムで唯一ピンカンがいた頃のラトゥっぽさが残る曲。その頃に作ったのか、ムランの持ち味が大味に感じられて聴いているうちに飽きてしまいます。とはいえこの曲も売れてるから企画としてOKなのでしょう。
★キ:前曲より続く。つまりこのアルバムは、おそらく女の子がこれを聴きながら、カラオケで自分が歌っている気分を想像するためのものじゃなかろうか?だからこの曲なんかもメロディー・オケともに、Ruth Sahanaya - Jiwakuって演出たっぷりなのに、いつまでも曲のピークが見えない。これ、けなしてるんじゃないですよ。だからこそ、何回でも聴いてしまうわけです。いくら食べても実体にたどり着かないスナック菓子と同じ。炭焼きバーベキュー味、だけどポテトなんです。
 
■4.Seribu Cinta
「どこかで聴いた...だれだっけ、いつだっけ」と悩んでいるうちに90年代に流行ったみたいな手の込んだ歌謡曲風のサビになって悩みはますます深まり、ああー思い出せないとか何とかブツブツ独り言を言い出す頃に終わってしまうどうしても気になる曲。なもんで繰り返し聴いてしまいます。ああー誰か教えて 〜!!
★キ
:かる〜く流してるけど、ギターの中近東風リフとかブレークの空間の作り方とか、非常に玄人な仕事してます。でもわざと寸止めして民衆に歩み寄ってますね。この「歩み寄る」というのが、歌謡曲たる所以なんですね。
 
■5.Teman Tapi Mesra
「Ratu and Friends」に収録されているオリジナルバージョンをそのまま再収録。「小娘になんか負けないわよ!」という開き直った気迫が感じられる空前の大ヒット曲です。ジミー大西のギャグ(古いか)みたいな振り付けを初めて観たときは「奥さまってばどうしちゃったのかしら」と思いました。「ハアハアハアハア」を子供が真似して頭が痛い親御さんが大勢いることでしょう。
★キ
:というわけで、カラオケ要素満載のこの曲が、本アルバム最初のピークでしょうか?いったい今までインドネシア中の何百万人の女の子が、ラジオから流れるこの曲を聴きながら、一緒に「ウーッ、パッパッパ〜」と口ずさんだことでしょうか?日本でも「ウーッ、ウォンテッド!」とかみんなやってた時代があったけど、そんな勢いを感じますね。もしかしてそろそろインドネシア経済上向き?
 
■6.Lelaki Ynag Kumau (Jazz Up Your Life)
DEWA19の新曲のカバーです(ウソ)。「インスピレーションを与えてくれる男性が理想なの/あなたじゃないのよ/ごめんね」という勝ち組アピールな歌詞はマイア風味100%ですが後はインスピレーションを与えてくれるダンナさまの仕事ですね。
★キ
:さて歌謡曲といえば忘れてはならないのは、やはりタイアップCMでしょう。となればRATUがやらないわけがない。「あなたの生活をJazz up(活気良く)しよう、行きたいところに行こう!」とまあ、ホンダJazz買えばあなたはハッピー、さあクヨクヨしないでローン組んじゃおうよ、っていうメッセージですね。この曲調ってまんまDEWA19だけど、もしこれがOnceの歌だったら消費者は正気になり、「でも今はガマンしておこう」とか考え直しそうだ。
 
■7.Ratu Sejagad
「世界の女王様に選ばれたと思ったら夢だったわよ」お芝居仕立てのキャバレーショーのように楽しい曲。ムランがこれまた楽しそうにイキイキと歌ってます。「Sedang Ingin Bercinta (DEWA19)」ではコテコテベタベタのダンドゥット節をあっさりこなしてたし今までいろいろな歌を歌ってたんだろうなあと想像させられます。
★キ
:これは2曲後に登場する"Didadaku Ada Kamu"のオリジナル歌手、Vina Panduwinataへのオマージュと見たぞ。しかしこうゆうオフザケ曲に限って、表現力見せつけたりするからなあ。Mellyなんかにも言えるんですが、本当はものすごく歌がうまいのに、わざとぶっきらぼうに崩したりするんですよね。という良い例が次の曲です。
 

■8.No. Satu
:Republik Cinta収録のLelaki Pecemburuです(ウソ)。「俺みたいに歌え」という指示だったのか、ムランが歌い始めでダニ風ネットリ感を見事に再現しています。いやだなあ(笑)。
★キ:というわけで、Ahmad Dhaniがよりワルノリしてるのがこの曲。いかにも「俺たちアタマの悪い高校生バンド」って感じの演出ですね。でもあくまで演出。
 

■9. Didadaku Ada Kamu
:5.同様「Ratu and Friends」に収録されているオリジナルバージョンを再収録。TTMとこの曲でトップ人気を9ヶ月持たせてツアーまでやってるんだから凄い。ダニがドラムを担当してPVにもしっかり登場する「婦」唱「夫」随ぶりが話題になりました。
★キ:キタキタキタ〜!この1曲で当アルバムはあっさり名盤に認定されました。オリジナル・ヴァージョンの歌手は80年代一世を風靡したVina Panduwinataです個人的に長年愛聴していたもので・・・・・でもまさかこんなクールなヴァージョンぶちかますとは、Dhaniの底知れぬ才能恐るべし!ミニマルでいてヴィジョンのでっかい音作り。つじつまの合ったセンス・オブ・ユーモア。インドネシアだけにとどめておくには、本当にもったいない才能だ。
 

■10.Aku Pasti Kembali
:マイア作詞って、奥さんこれLeaving on a Jet Plainのインドネシア語訳じゃないですか、もの凄く流行っているのにこのアルバムを持ってる人が周りに一人もいなかった事情が飲み込めてきたぞ。ストロベリースイッチブレイド=「2人のイエスタデイ」のように、ラトゥ=「Teman Tapi Mesra」で、ファッション含め存在自体がアイコンなんですね。
★キ:さらっといい曲で締めました、ってところだけど、よく聴くとやはり濃ゆい仕事してます。クレジットはMaiaですが、これは間違いなく夫婦の共同作業ですね。ともかく歌謡曲の制限枠でここまで聴かせてくれて、昭和なおじさんはもう大満足!いわゆるVanessa Paradis produced by Lenny Kravitzのインドネシア版ともいうべきこのアルバム、改めて繰り返しますが「名盤」に認定しましたので悪しからず。
 
2006年11・12月号より
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