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インドネシア・ポップス
インドネシア・ポップス(I-POPS)の素晴らしさをもっと日本の皆様に知ってもらいたい!!バリ島やインドネシアと聞くとすぐに「ガムラン」「ジェゴグ」などの伝統芸能を思い出しがちですが、こちらの音楽文化はそれだけではありません。「アピ・マガジン」はこちらの若者の間で流行っている「インドネシア・ポップス」にフォーカスし、毎月アーティスト紹介や新譜紹介をしていきます。ぜひバリ島やインドネシアに来たときには、インドネシアのアーティスト達の音楽CDを購入し聴いてみてください。また新しい発見がありますよ。(言葉の勉強になるかも!?)
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蓮次郎子

蓮次郎子

インドネシアのロックと芸能ゴシップ好きな
アピ編集部・オンチェ命ミーハー主婦。

キャンディー・甲山

キャンディー・甲山

インドネシア無宿、東京では引きこもりの中年男。近頃年のせいか早起きになりました。

インドネシア・ポップス > Vol.63
バリ島番外編 LOLOT(ロロット)

「初めてバリ語をロックにのせた」バリ発オルタナティブ・ロックを標榜し続けるバリ・ローカルのカリスマLOLOT。2003年、気鋭のインデペンデントレーベル 「プラギナ・レコード」から
“Gumine Mangkin”でデビュー。レーベルの総帥バグース・マントラ氏いわく「バリ語のロックバンドはLOLOTの前にもいたと思います。ただその当時、バリ語ロックバンドのアルバムをリリースする勇気ある(笑)レーベルはなかったのでしょう」。デビュー直後からバリ島の若者たちの間で爆発的な支持を得て現在に至る。下の写真左から、イ・マデ・バワ(Vo)、デニー・スルヤ(G),ラナン(Bass)、ドニー(Drm)。バリの伝統音楽とのコラボレーションにも積極的に取り組み、2004年リリースの「Bali Rock Alternative」 で2005年5月にインドネシアの全国TV局SCTPアワード最優秀インディペンデントバンドに選出されている。通算5作目のアルバム Saling Caplokを5月12日にリリースしたばかり。

ディスコグラフィー
カトン・バガスカラ

<LOLOT ディスコグラフィー>

2003年 Gumine Mangkin:地球の今

2004年 Bali Rock Alternative:バリ・ロック・オルタナティブ

2005年 Meong Garong:野良猫

2006年 LOLOT The Best (ベストアルバム)

2007年 5月 Saling Caplok:喰い合い


アルバム評
Love Holic

■LOLOT ベストアルバム
LOLOT the Best (2006)

1.Jeleme palsu:ニセモノの善意(下心)
2.Tembang balu:もてない奴への歌
3.Tresna memaksa:ゴリオシの愛
4.Artha Utama:一番の財産
5.Dagang Kopi Jegeg:コーヒー屋台の看板娘
6.Lelut:ツイてない奴
7.Bali Rock Alternative:
 バリ・オルタナティヴ・ロック
8.Meong Garong:野良猫(のような人)
9.Truli:黄昏青年
(いい年になっても独身の男をからかう呼び名)
10.Magedi:行けよ
11.Karman Beli:俺のカルマ(因果応報)
12.Barong Bangkung vs Cak Cak:
 バロン・バンクンvs チャッ・チャッ

Love Holic

<聞いた人その1:キャンディー・甲山:インドネシア無宿、東京では引きこもりの中年男。近ごろ年のせいか早起きになりました。>
バリ好きの人なら、誰しもとっておきのスポットがありますね?僕の場合はカフェでもビーチでもなくて、サヌールにある小さな音楽スタジオ"Pregina"です。まわりは普通の住宅地だし、これといって名物があるわけじゃない。とはいえ、なあんとなく気持ちいいヴァイブがあるんですね。そんなわけで、用もないのについつい足が向いてしまう、というわけ。
スタジオ正面のガゼボ(というか、バリ民家にありがちな縁台)に座ってコピなどすすっていると、三々五々にイイ感じの人たちがやってきます。そしていかにもバリらしいノンキな笑い話が始まる。しばらくするとスタジオの中から「おーい、そろそろ始めようか」という感じでお呼びがかかり、彼等は「よっこらしょ」といういう感じで腰を上げる。
今回ご紹介するのは、そんな彼等の音楽。バリのローカルレーベル・Pregina Productionsの看板アーティストたちです。レーベルの総帥・マントラ君は柔和な表情とは裏腹に「バリの音楽をなんとかせにゃならん」と、東国原知事さながらに語る熱血漢。初代Balawan & Batuan Ethnicのドラマーにして、現在はビデオ・テレビプロダクションも経営する、次世代バリニーズ・カルチャーを担う多才なリーダー。というわけで、ここのスタッフたちも、多少ずっこけてはいるものの、やるときゃやるぞ、な心意気がたっぷりです。
さて肝心の音楽ですが、かたやロック系・かたやレゲエ系と分かれるものの、両者に通底しているのは強力なナゴミ感。言葉を替えれば脱力感なんですが・・・・・いえいえ、決して手抜きもしていないし曲もユニーク。もっとうまい形容はないのだろうか?そうそう、これはカフェやクラブじゃなく、まさにローカルワルンのための、ロックでありレゲエなんです。今までともすれば、カシオトーンでピコピコ・ワンパターンに陥りがちだったポップ・バリの世界に、はたして彼等は風穴を開けられるのか?俺は応援してるゼ!

<聞いた人その2:蓮次郎子:インドネシアの芸能ゴシップとロック好きなオンチェ命ミーハー主婦>
アンダーグラウンド系のハードコアパンクバンド出身のマデ・バワ率いるバリ語オルタナティブロックバンド、LOLOT初のベストアルバム。本格的ロックンロールあり、伝統音学を取り入れたコラボレーションあり、メローなスローナンバーありと実に多彩な内容でお得感あり。全編バリ語。バリの伝統音楽をフィーチャーしたBarong Bangkung VS Cak Cak はそれぞれ別の曲だったのをベスト盤用に合体して再編した豪華版。「バリならではのものにこだわっていきたい。アルバムに必ず1曲は伝統音楽とのコラボレーションを収録しています」。この曲の要所要所でバシっと決まっているケチャのかけ声はどこぞの楽団の人でも読んで来たのかと思いきやメンバー初めスタジオの録音スタッフ&プロデューサー総出演の熱演なのだそうで、恐れいりました。バロンやケチャと共演したメッチャカッコイイPVを収めたDVDも発売中です。

曲評

■1. Jeleme palsu
:イントロ、タイトでかっこいいじゃんと思ってるとバリ語ボーカルに一気に脱力させられる「ngeROCK=ロックしている」な曲。この不思議と癖になる脱力のもとはンゲンゲ音の多いバリ語なのか、ボーカルのマデ・バワはLOLOTの前はハードコア・パンクのバンドをやっていたそうです。
 
■2.Tembang Balu

日本語に訳すと「もてない奴への歌」ってことらしいけど、おい俺の事かよ!って思っちゃう自己憐憫な雰囲気バッチリ。やっぱりワルン話は共感してなんぼ。「ほんまやなあ、俺も経験あるわ」と、ある事無い事いたわり合いつつ、「みんな一緒やんかあ、元気ださなあかんでキミも」とはげましてくれる、そんな人情たっぷりなLOLOTの兄さん方なのでした(ほんまかいな?)。

 
■4.Artha Utama
美しいバラード系ビートロック。本物のチェロ演奏がからむメローなイントロから、いきなりド派手なLOLOT節が炸裂!こりゃ全国区狙える曲だね。さあこれからどんな盛り上がりが・・・・・と期待してたら、いきなり唐突に終わってしまったぞ。このあっさり加減が、実にジャワとバリに横たわる人間海峡なのでした。
 
■5.Dagang Kopi Jegeg
★蓮:コーヒーワルンの店番の可愛い子ちゃんを略して“ダッコチャン”といいますホントです。ふらっと入ったワルンのダッコチャンに一目惚れ、コーヒーをお替わりしながら口説くチャンスを狙うとゆーバリの青年&元青年の日常にめっちゃありがちなのどかな?情景を歌ったアコースティックな曲。
 
■7.Bali Rock Alternative
お約束のギターのキュィィーンも健在な直球ストレートのロックンロール。乾季のバリの青空のように爽快でハッピーな気持ちになれるおすすめの一曲。バリ発でドーンとやってやるぜ!という明るい心意気が伝わってきます。子供の合唱もかわいい。一緒に歌おう!「ヘイ!バリロックアルタナティブ!」それ以外はバリ語なので鼻歌に移行....。
 
■8.Meong Garong
★甲:この曲はなつかしいなあ。もう2年半くらい前だろうか、このタイトルのカセット発売パーティーに呼んでもらって、彼等と初対面したんだっけ。そしたらドラムのデニー君が「僕日本に行ったことあるんです」ってことで。なんとブレーク前のイヌルのバンドメンバーとして、大阪のライヴに出演した事が判明。道理でタイトなビートたたき出しているなあ、と感心したものでした。ちなみに彼、Pregina作品ではほとんどのMixも手がける、勉強熱心なエンジニアでもあります。
 
■9.Truli
:Truna Lingsir:黄昏青年の略。日本でいう独身貴族とは全然違うので、30過ぎの独身バリ人男性に向かって「あなたトゥルリですか優雅ですね」なんて言うと100%ムッとされるので注意。哀愁が漂っているようで実は人を小馬鹿にしているようなビミョーなメロディーにのせて黄昏ちゃった元若者に向かって「外に出て行って女の子と知り合おうよ」とアドバイスしている歌。
 

■10.Magadi
:スケールの大きい美曲。欧米人のような視点で「バリ・アイランド」のイメージを客観的に表現するバリ人離れした手腕はレーベルのオーナーでプロデューサー、Balawan&Batuan Ethnic Fusionの初代ドラマーを勤めたバグース・マントラ氏の作とみた。裏切った恋人に「行けよ、もう戻ってくるな」という傷心の歌詞はマデ・バワの実際の体験だそうな。
 

■11.Karman Beli
★蓮::映画の主題歌になりそうな美曲が続きます。「この曲に使われてるストリングスはもしかして本物?」というキャンディーさんの問いに返ってきた返事は「本物。デニー(Dr)のおじさんの友達(どこまで行くんじゃ)のマス・ブディさんの演奏です。その後で同じ旋律のキーボードをかぶせてダブルにして厚みが出るようにしました」でした。LOLOTのメンバーが個人的に一番好きな曲に挙げています。
 

■12.Barong Bangkung vs Cak Cak
★甲:これは文句無しのイチオシ!メロコアとケチャのゴキゲンなお祭りや〜、みんな踊れ〜、ケチャれ〜、というしかない!もう全国区はおいといて、この気合いでメルボルンなりトロントなり行きなはれ。LAやロンドンは無理やけど。そんな読めない可能性を感じさせつつ、いきなり脱力するんじゃないか、という一抹の不安さえ楽しめてしまう、Bali Rock Alternatif最強バンド・LOLOTをみなさんヨロシクね!
 
2007年5・6月号より
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